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vol.2(海和)

やっぱり。
やっぱり月曜日は!

リナリーは自分に腹をたてていた。
特に月曜日は、自分が嫌になりやすい日だということをよく分かっていた。

だから時間に余裕を持って行動しようと朝計画していたというのに何も計画通りに進まない。

本当に、なんで人生の道のりとはこうも土砂道ばかりなんだろう。


元来た道を戻り、早くもマンションに到着し部屋に駆け込んだ。

予想通り 英語の課題は机の上にあった。
急いでそれを掴みとり鞄に押し込み再び家を出る。
皆、経験したことがあるとは思うが忘れ物などでもう一度家をでることほど虚しいこともない。

リナリーは頭の中で他に忘れ物がなかったかを考えながら階段を駆け降りた。
一つ忘れ物をしていると、大体二つ目もある。
それに今日は月曜日。
不幸な月曜日なのだ。
まだ何かあるに決まっている。

そう思っていた時。

リナリーは、ふと右肩に違和感を感じた。
いつももう少し重みがあるはずというか…何かおかしい。走る足は止めずに右肩を見た。




「!?」

衝撃的。
いや、馬鹿な自分のせい。
それとも、月曜日だから?


鞄が開いている。

それも持ち手の部分が片方肩から外れているため中の教科書がずり落ちそうになっている。

いくらパニックだったからといったってこれはあんまりだ。普通だったら気付く。
リナリーは自分の行動を疑った。

何か落としたものはないか流石に足を止めあたふたと鞄を探る。

すると またもや英語の課題がない。
確かに鞄に入れた。
入れたというより突っ込んだというほうが近いが…。でもあれは数枚のプリントをクリップで留めているだけなので落ちやすいのも確かだ。そして散らばりやすいのも確か…。

あれは今日のアンラッキーアイテムなのか。
不運にも程がある。


少し迷ったがリナリーは来た足を引き返そうと振り返った。

すると少し遠いが何枚かのプリントが道に散らばっているのが目に入った。
よかった。
少しの安堵が生まれた。

今日はあの英語の課題に振り回されてばかりだ。

リナリーは駆け出した。

あれが問題なく鞄に入っていれば今頃、いつも通り私は神田と登校していただろう。
荷台に乗って心地よい風をうけて。


そして今も気持ち良い風が吹き抜ける。



リナリーは血の気が引くのを感じた。

まさか…である。
風は容赦なく吹いた。
見事に吹き抜けプリントは中を舞った。
「ああ!あー!!」

リナリーは足を速めたが間に合うかは一か八かだった。プリントは四方に舞ったのだ。
と、ちょうどその時、向かい側から同じ高校の制服を着た男子生徒が歩いてきた。
「すみません!そのプリントとってください!!」


リナリーは、声を張り上げた。これでもかというくらいに。

しかし、その男子生徒は何の反応もなしにすたすたと歩いてくる。

「え…」

無視をしている。わけではないだろう。たぶん。聞こえていないのだ。

しょうがない。
リナリーは諦め半分だったが全てのプリントを奪回しようと試みた。
そうしないと困る。
しかし、それは予想外に困難なことだった。
やはり1枚だけでもいいから的を絞ればよかったと後になって後悔した。

風は無惨にもプリントを遥か遠くに運んでしまったのだ。
リナリーは息を切らして立ちすくんでいた。
その隣を何も知らないだろう男子生徒が通り過ぎる。


あぁ…イヤホン…音楽を聞いて…


リナリーは、彼の一際目立つ赤毛から少し覗く耳元を見てぼんやり思った。
すると、彼は急に立ち止まり、耳からイヤホンを外して呟いた。


「こういうのをさ、二兎を追う者は一兎をも得ずって言うんだな。」


そして眼帯をした顔を向けリナリーを見て微笑んだ。

彼は再びイヤホンを耳にいれ「春だな」と呟き、ネクタイに少し手をかけ緩めると歩き出した。

「…な、何なの…」


リナリーは久々に他人に怒りという感情がこみあげてきた。

赤毛 眼帯 イヤホン 緩いネクタイ


アンラッキーパーソン




不幸な月曜日はやっぱり不幸ばかりだった。



  1. 2008/01/30(水) 23:08:43|
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